story 1.5

story 1.5

(当サイト限定のおまけ話)




 「ひどい顔…」


 鏡を何回覗いても、睡眠不足によるクマはなくならない。


(昨夜はどきどきして眠れなかった、なんて子どもみたいな、そんな。情けない)…などということを考えながら彼女はうんうんと唸っていた。


 とにかく、どうにかしないと。この顔ではフライフィアに失礼だ。神様の前にこんな顔を晒すのは…!


 しばらくして、そういえば、と手を叩く。押し入れに全く使ってない化粧道具があったはずだ。すぐに立ち上がりそこを漁ると、簡単にファンデーションが出て来た。…肌にのせるための道具はなかったが。


 (ともかく、これで一安心ですね。あとはどうやって化粧を…ん?)


 視線の先には、普段使っている羽根ペン。


 (や、柔らかそう…!)



 睡眠不足は人の判断力を鈍らせるな、と後悔したのは、この後メモを取るときにクリーム色にまみれたペンを見たときだった。