story 1
部屋の電気は消した。あれに線も繋いだ。事前に聖エネルギー測定器のチェックもした。他にやりのこしたことはないか、指さしで確認する。
「…よし、大丈夫。あとは祈るだけ」
もう一度、あれを手に取る前にセリフを心の中で復唱する。1つしかないのだから、自分を原因としたミスだけは避けたいところだ。
机上のメモには、今現在のあれから得られる聖エネルギーの数値が書かれている。僅かな反応だが、他に聖エネルギーを発する物質はないゆえに、あれは本物だと確信できる。
ゆっくり、そっと、割れないように…。華奢な彼女の指があれを覆い、持ち上げる。窓越しの月明かりに晒されたあれは、神秘さを増した。
測定器の針は一定の値を示しており、いつでもどうぞと言わんばかりに辺りがしんとした。彼女は胸の前にあれを突き出す。
深く、息を吸った。
「お願いです、この水晶を生み出した」
ぶわり。辺りが強烈な光で満ちる。青白く照らされた計測器が破裂音を叫ぶ。限界を超えた流量だったのだろう。
「あの神に…フライフィアに会わせて下さい!」
コメントをお書きください