episode 2
(マストドン「ichiji.social」インスタンスの「創作版深夜のお絵描き/文字書き60分一本勝負」企画にて:選択テーマ「ペアルック」)
「寒い…」
トマフは風の中、そう呟きます。
「なんでいま寒くなるんだよ…生活費ぎりぎりなのに、服なんか買えねえって」と、がちがちと歯を鳴らしました。すると1人の少女が見かねたのか、心配そうに
「あの、大丈夫ですか?」と声をかけます。
しかしトマフは恥ずかしくて答えられません。沈黙が流れます。
「えっと、これよければ!さっき木の下で見つけました。願いが叶うかもしれません、お守り代わりに!」と少女はそう告げ、きらめく水晶を押し付けました。
そうして彼女が立ち去ろうとしたとき、なんとその水晶から強い青い光が放たれたのです!
「うわ…本物、かよ…!」声が終わるか終わらないかのところで、その光はおさまりました。そして見えた景色はといいますと。
少女と全く同じ服を着た、トマフでした。
「…ぷっ、あははは!初対面の人とペアルックしてるなんて…!いったい何をお願いしたんですか!」少女は耐えきれず笑い出します。トマフは真っ赤になりながら、
「あなたみたいな、暖かそうな服を、着た、かった…」と、か細い声で答えました。
冬はまだ、始まったばかりです。
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気分屋 (土曜日, 03 3月 2018 15:10)
はじめまして。
Ep2好きです。くすりと笑いました。面白かったです。
繋がった縁、おふたりの今後も気になりました。
一時間で服装は元に戻るのですものね。
つい深読みしてしまったのは、少女は水晶を持っていたのに、トマフに渡すまで水晶が「願いを叶える」力を発動させなかった点です。(まだ拝読しておりませんが、Storyのほうで少女は登場するのでしょうか…?)
しかし、そういえば、勝手に、水晶が願いを叶えるのは一時間のみ・一回だけで消えてしまうか力を失ってしまうと思っていましたが、まだそのあたりについては読んでいませんでした。
出過ぎたこととは思いますが、
私はわりとコメントを送るほうですが、コメントなしで拍手のみだとしやすいという人も私の知り合いには多いです。もし方針と大きなズレがないようでしたら、拍手設置も良いかもしれません。
初訪問で失礼しました。
物語と笑顔をありがとうございました。
管理人 (木曜日, 15 3月 2018 01:35)
気分屋 様
この度はコメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
面白かったとの言葉、とても嬉しく思います。基本的にepisodeはカジュアルに、この世界での日常と、そこに息づく水晶の話を書いていくつもりです。ので、もしかしたらここでの人物が登場するかもしれませんし、しないかもしれません。また水晶についての詳しい説明などは(やや長いので)storyで補完していくつもりです。
拍手の件、確かにそのとおりかもしれません。気にはなっていましたので、これを機に前向きに検討してみようかと存じます。
ありがとうございました。