episode 3
カレッダのもとから息子が独り立ちして4年。あれから家に帰ってこず、とうとう街に大きな寒波が襲い、年の瀬が近付いていることを知らせます。
「ねえ、あなた…あの子、今年も帰って来ないのかしらね?」指をもぞもぞさせながら、自分と同じくらいの年の夫に声をかけます。
「さあ…おまえは、帰ってきて欲しいのか?」
「嫌ね、あんな子。もう戻ってこなくていーわ!」顔をつんと逸らした瞬間、棚に置いてあった水晶が鋭く光りました。
「おいカレッダ?おまえ…神様からバチ当たるんじゃないか!?」
「ええ、そんな…ごめんなさい!違うんです…!」夫婦揃って青ざめてあたふたしていると、光は収まりました。
すると、コンコンと戸を叩く音が聞こえます。
「ひえっ…!」怯えながらも、恐る恐る玄関口へと足を運びます。そっと戸を開きますと…懐かしい、息子の姿。
「…久しぶり。ただいま」
驚き唖然とするカレッダに気付かれないよう、夫はこう呟きました。
「…なんだ、やっぱり帰ってきて欲しかったんじゃないか」
コメントをお書きください